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【読書】何を書けばいいの?どう書けばいいの?どうしたら書けるの?に答えます。

『読みたいことを、書けばいい。』

著者:田中 泰延

単行本(ソフトカバー): 272ページ

出版社: ダイヤモンド社 (2019/6/13)

言語: 日本語

ISBN-10: 447810722X

ISBN-13: 978-4478107225

発売日: 2019/6/13

きっかけ


ブログ記事のネタは決まっているのに、そのネタの何を書けばいいのか?、どう書けばいいのか?、書くと決めたのに腰が重いのはなぜなのか?、と思いながらまた文章術の本を探していました。
『読みたいことを、書けばいい。』田中泰延 著
私の悩みの答えが、もうタイトルに書いてあります。即決で今回はKindleにて購入しました。
タイトルに答えがあるので買わなくても良さそうな感じですが、自分が「読みたいこと」自体がよくわからなかったので買いました。
読み始めは、ギャグのような文章が多々放り込まれているので薄っぺらな本なのか?、と疑いを持ちそうになりますが読み進めていくうちに著者の「書く」ということへ真面目さが伝わってきます。

なにを書けばいいの?


この本はブログやSNSで文章を上手に書きたいと思ている人を想定しているようです。(筆者はこの本のなかで、ターゲットは想定するな自分に向けて書けと仰っていますが…..。)

筆者はこの本で扱うのは、「文書」ではなく「文章」である。その「文章」のうちの「随筆」を書くことを扱うといいます。
筆者のいう随筆とは


”わたしが随筆を定義すると、こうなる。「事象と心象が交わるところに生まれる文章」
事象とはすなわち、見聞きしたことや、知ったことだ。世の中のあらゆるモノ、コト、ヒトは「事象」である。それに触れて心が動き、書きたくなる気持ちがうまれる、それが「心象」である。
その2つがそろってはじめて「随筆」が書かれる。人間は、事象を見聞きして、それに対して思ったこと考えたことを書きたいし、また読みたいのである。”

第1章 その2より 

随筆がどういったものか、突き詰めた考えをもっていなかったので大変参考になりました。

前提となることばの定義が、曖昧ではどんな話もかみ合いません。他人に晒す前提で文章を書くのですからそこで使う言葉に気をつかうのは当然です。

事象側に片寄ればそれは報道やルポルタージュ、心象側に片寄れば創作、フィクション、小説、詩ということになります。
これでなにを書けばいいか、とりあえず答えをもらいました。
ではどう書けばいいのでしょう。

どう書けばいいの?


”書くという行為において最も重要なのはファクトである。ライターの仕事はまず「調べる」ことから始める。そして調べた9割を棄て、残った1割を書いた中の1割にやっと「筆者はこう思う」とかく。つまり、ライターの考えなど全体の1%以下でよいし、その1%以下を伝えるためにあとの99%以上が要る。「物書きははしらべることが9割9分5厘6毛」なのである。”

第3章 その2より


心象だけ書いても、人は興味を持ってくれない。他人の心象など結局どうでもいい、それよりもその事象が面白そうだと思ってもらうために、また自分が面白さを発見するために調べ尽くせと著者はいいます。

文章を書く段階においても、使う言葉の定義をしっかりさせておくことが大事とおっしゃっています。この本の話の進め方もまさにそれに沿っていて実にわかりやすい。


どう書けば良いのかもおかげ様で、だんだんわかってきました。

著者は本書の冒頭で、自分が読みたいことを書けば自分が楽しいというのがコンセプトであって、世間によくある「文章テクニック本」ではない「書く」という行為のための考え方の本である、と書いておきながらコラムという形で「文章術」的なこともしっかり教えてくれます。
また「無駄な記述を徹底的に排除したつくりになっている。」と言いながらその直後に無駄と思えるような文章をあえて挟んできます。
あきれて読んでいるとそのうち、おもしろくなってきます。

腰が重いのはなぜなのか?


書きたくないわけじゃないのになんとなく腰が重い、手が出ないのは自分が怠惰なのか?、思いが足りないのか?能力がないのか?

”イヤだイヤだと思っていても仕方がない。書くと約束した以上、重い腰を上げて書き始める。イヤなことを少しでも愉快にするためは、自分が書いて、自分で読んで楽しい気分になる以外に方法がない。そうしているうちに、自分が読み手になってくる。

第2章 その3 より

この文章の達人でさえ、苦しんでいたのです。楽しく書き始め「あっ!」という間に書き終えることは不可能のようです。
しかし勇気はもらえたような気がします。

「悩んでないでとにかく書き始めろと。」


この本はどんなかたちにせよ、文章を書いて生きていこうと決めた人を勇気づける言葉に満ちています。


”深夜、暗い部屋で腰の痛みに耐えながらキーボードを打って、自分で書いたものに自分で少し笑う、それが「書く人」の生活である。”


第2章 その3 より


”この本は、そのような無益な文章術や空虚な目標に向かう生き方よりも、書くことの本来の楽しさと、ちょっとのめんどくささを、あなたに知ってもらいたいという気持ちで書かれた。”


序章 より

自分で書いたものに「自分で少し笑う」、「ちょっとのめんどくささ」、この部分に強く共感を覚えます。

ブログを書き始めてまだ日が浅いのに、この感覚に共感するのはまだ早いのかもしれません。

でも取り敢えず記事が完成したと思った瞬間「ニタ~ッ」としている自分に気が付きました。

歩きながら外で 「ニタ~ッ」 とするわけにもいかないし、こんな楽しみが手に入ったら幸せになれるかもしれないと思わせてもらいました。

「おわりに」の章で、映画評論家 荻昌弘氏の『ロッキー』の解説の話が出てくるのですが、さらに勇気をもらえます。

最後の最後に、


”たくさんの人に読んでもらえ、web上やSNSでバズリ、内容が効率よく人に届き、とてもおもしろく、わかりやすい文章を簡単に書く方法。
それは短くいうと、  以下省略 ”


おわりに より


以下に続くことばは予想がつくと思います。

おしまい

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