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【読書】書くことは苦しい。コツを知るとチョット楽しい。

『説明は速さで決まる』一瞬で理解される「伝え方」の技術

著者:中村 圭

単行本(ソフトカバー)

208ページ出版社: きずな出版 (2019/5/21)

言語: 日本語

発売日: 2019/5/21

ISBN-10: 4866630752

ISBN-13: 978-4866630755

確かに話が長すぎて途中で聞きたく無くなってくる人はいます。

周辺情報ばかりで、なかなか結論が見えてこないので聞いているこちらがイライラしてきます。

「丁寧」のつもりで気を使ってくれているのはわかりますが、読解問題を口頭でやっているみたいで疲れます。

最初に結論を示してから、周辺情報を展開した方がずっとラクなのになぜなんだろう?。


この本のタイトルを見てそんなことを思い出しました。

速い説明ってなに?


” せつめい【説明】「物事の事情が相手に分かるように、言葉で描写したり、理由を話したりすること。解き明かすこと。」”

「あ、それ欲しい!」と思わせる 『広告コピーのことば辞典』飯田 朝子著 より 引用


著者に言わせると「短く、わかりやすく伝える。説明」が、 「速い説明」 ということらしいです。

その「速い説明」を最も得意とする人たちが、コピーライターというわけです。

”短さを正しく追求すると、自動的にその説明はわかりやすくなっていくのです。”

はじめに より


本書はコピーライターが普段から使っているそのテクニックを、著者が誰でも使える 「速い説明」 のノウハウにして「説明」してくれます。


1章、2章で「説明」のの要素を整理するテクニックを示し、

3,4,5章で「説明」をより伝わりやすくする技を独自の表現で披露してくれます。

説明の要素を整理する技術


”コピーライターの習慣として、みなさんにまず身につけていただきたいのが、とにかく「文章を短く書くことにこだわる」ということです。”

第1章より


まず無駄がどれほどあるのか把握するために、文章にして見てチェックします。書き出さずに頭の中だけで考えてもやりずらいですし、整理もむずかしい。

”文章で短く説明するクセがついてくると、しゃべりの無駄も減っていきます。”

第1章より


それには内容を箇条書きにして可視化し、たくさんある説明の要素から、どの説明をつないでいけば相手の理解にまでたどり着けるかを考える。
これを著者は、説明の地図を描く作業「最速説明マップ」をつくる、と表現しています。

箇条書きにして整理することは誰でもやりますが、「マップ」をつくるという考え方で説明しているところがわかりやすいとおもいます。

説明を伝わりやすくする技術


3,4,5章の中で特に面白いのが3章の「透明ルート標識」の話です。


これまでの時代なら「ポイントは3つあります。」というマクラことばも有効でしたが、「速い説明」の観点からすると「3つもあって長い!」と受け取られる可能性が大きいということ。言い換えると「これから長い説明をするので、受け入れてください。」というメッセージになりかねないと著者はいっています。


「ポイントは3つあります。」とあえて言わなくとも同じような働きをもつ言葉がある。

それがコピーライターが使う、相手に知らせることなく無意識的にルートを受け入れる準備をさせる「透明ルート標識」というテクニック。

ワンフレーズで共通認識を生み出す「時代」「挑戦」「卒業」「出会い」「力(リョク)」ということば。


赤瀬川原平 さんの 「老人力」というベストセラーを思い出しました。老化による衰えを「力」をつけることによってネガティブなイメージからポジティブなイメージに変化させる代表的用例だとおもいます。

このようなことばが、流通しているのはよく目にしますがそんな意図があり、迂闊にも上手く誘導されていたとは気が付きませんでした。

言葉のリテラシーを上げてゆくことも必要だと改めておもいます。

本を読むことは、普段なんとなくやり過ごしていることを改めて考え直してみる機会をあたえてくれます。


型を使った透明ルート標識「ビフォアー&アフター」型


”これは、自分でルートをつくり上げるような感覚で使ってもらえます。非常に便利で、広告のキャッチコピーで使われることが多い型なので、あなたも見かけたことがあるかもしれません。ビフォアー&アフター型は、「〇〇から〇〇へ」という言葉を使います。この型の言葉は、「現状から望む未来まで」を最速で描ける型として重宝されています。もちろん広告だけでなく、普段の説明で相手の頭にルートをつくるためにも使えます。冒頭で短く、これから説明するルートをひと言で表すやり方です。”

第3章より


「垂直思考から水平思考へ」とか「デジタルの時代からアナログの時代へ」などよく見かけます。

実際にこのようなタイトルで話をしたことはありませんが、著者がいうように考えをまとめる時のちょっとした思考ツールとして覚えておきたいと思いました。

そのほかに面白かったのが、第5章 「無意識クラクション」

ポイントをさりげなく強調して、相手の印象に残す技術です。


「重ねる」「落差をつける」「問いかける」「韻を意識する」「ズラす」
5種類の技を紹介しているのですが、私が特に面白そうだと思ったのが「落差をつける」「ズラす」という無意識クラクション。


”落差の例

「正直なままで、成功したい。」⇒「嘘をつく成功ならいらない。正直なままで成功する。」
一度正直の反対の「嘘」を持ってきて「正直」にフォーカスをあてる。


ズラすの例

「商談の前には準備しっかりしなさい」⇒「商談は下ごしらえが一番大事」”


第5章より


分野の違う用語に置き換えてみる。

ありがちなことを工夫して説明するときには、ほかの表現ができないかと考えてみる。


自分でも作れないかと考えてみたのですが、全然できませんでした。

簡単そうに思えるのですが、意外に難しいです。まだまだ修業が足りないようです。


著者は5章の最後の方で

”これらのテクニック、僕は日本語の奥ゆかしさを感じて好きです。「大切なポイント」と言わずに、「重要である」ということを、相手に無意識で感じてもらう。それはつまり、情報にあふれた相手の脳に、負担をかけずに重要なポイントを教えることになります。要するに、これらの技は、説明における「おもてなし」なのです。あなたも、言葉の技を説明に織り交ぜることを、楽しんでみてください。資料の文や、普段の説明にコッソリと混ぜる。SNSで使ってみて、反応を楽しむ。そんな「言葉を企む」という楽しさを感じ取ってもらえたら嬉しいです。

第5章 より

「こんなことを気にかけながら、工夫して文章を書くとおもしろいよ!」というメッセージが伝わってくる本でした。

この記事のタイトルを工夫してみたんですけど、どうですか?。

おしまい

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