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【読書】自分の文章の「モヤモヤ」を解消してくれる本

『新しい文章力の教室 苦手を得意に変えるナタリー式トレーニング』唐木 元 著

単行本(ソフトカバー): 208ページ

出版社: インプレス (2015/8/7)

言語: 日本語

ISBN-10: 4844338722

ISBN-13: 978-4844338727

発売日: 2015/8/7

   

何とか文章を書き上げたとしましょう。

当然見直すわけですが、なんとなくとか、違和感がある、意味が解りずらい、見た目が悪いといった感じで必ず修正点は見つかります。

明確な判断基準があるわけではなく、私の場合だと「違和感」というもので判断しています。(かなり曖昧)

文章を書くという経験は乏しくとも読むということは、散々してきました。

書いている最中は気が付かなくても、一旦外に書き出せばある程度の推敲作業は出来る自信があります。

だけど、「モヤモヤ」します。

これは書き続けながら、読んでくれるひとの力も借りて経験を積まなければ出来ないこととも理解しています。


などと、考え始めたのも、この本がキッカケです。

そんな「モヤモヤ」を解消してくれるのがこの本です。

正確には「モヤモヤ」の正体に気づかせてくれました。

文章のつくり方


この本は「完読」される文章が良い文章であり、それをつくることを目標にすると冒頭で宣言しています。

目標とする「完読」される文章を完食される「ラーメン」に例えたり、文章を書くための前準備の重要性を「プラモデル」に例えたりして、文章をつくることへの取り組み方が具体的に示されています。

文章は事実とロジックで成り立っていて、これをしっかり組み立てる準備をして文章を書くことに取組めば大方できあがる。

あとは著者が「言葉づかい」といっている部分を磨けば完成に近づく。

ただこのいわゆる推敲の部分が、いちばん高度で、手間がかかる。

したがって基本的な文章の書き方は第1章だけです。

第2章から終わりの5章までの半分以上が、文章を磨くノウハウというボリューム配分です。


いってしまえば文章職人としての貴重なテクニックが、披露されているわけで大変ありがたいことだと思います。

学生時代からライターとしてとして活躍され、その後3つの出版社の編集 を経てコミックナタリーの編集長となり、並行して「唐木ゼミ」を通じて数多くの新人教育を担当された著者を「文章職人」と勝手に命名させていただきます。

書けなくなったら

第1章で私を救ってくれた項目が、レッスン14の「書けなくなったら」です。


”そんなとき私はまず、スタックしてしまった部分を放置して、次に書き進むようにしています。 ”

46ページより


引っかかってしまったところは、とりあえずスルーして後で直せばいいということ。

日常で締め切り時間のあるシゴトをしているとき、後回しにして先に進むのは当たり前のこと、自然にやっている。

でもひとりで文章を書いているときには、それに気づかず時間を無駄にすることがしゅっちゅうです。

そうこうしているうちに集中力も切れ、「書けない」とぼやく。

ひとりでブログの記事を書いていると、納期は自分次第なので完成までもっていく緊張感が薄くなりがちです。

書きたいことを、好きなように、好きな時に書けば良いなんて耳障りは良いですが、天才でもない限りこんなことをしていては何も生まれないと思います。

いわゆる「締め切り効果」をより強く意識しないとひとり作業は続きません。

小学生のころ夏休みの宿題を、母親に怒られながら8月31日にやった事を思い出しました。

参照

プレジデントオンライン締め切り直前”に脅威の集中力が出るワケ

 https://president.jp/articles/-/24131

文章の磨き方

冒頭で、推敲しているときに「モヤモヤ」すると申し上げました。

その「モヤモヤ」の正体は、読点の打ち方と世間でよく目にする漢字をあえてひらがなで書いていることへの疑問を、解決していないことに起因すること気づきました。


気になっていたけどスルーしていたということです。


読点については係り受けと絡めて、実用的な方法を説明してくれます。


漢字とひらがなの件は「かなに開く」という用語があることを知らされました。


「かなに開く」の使用基準は、時代とともに変化していてアジャストしていくしかないそうです。


ただ自分で使うときは、その基準をそろえる必要があるとおっしゃっています。


この磨く作業のポイントは61項目にわたるものです。


使えそうなポイントを少しづつ取り入れるよりも、著者の示す順番で作業が繰り返し、できるようになるまでトレーニングする方が、文章力を身につけるのに効果的だとおもわれます。


本を参照しながら、文章を推敲していると「唐木ゼミ」に参加しているような気分に一瞬なります。

参照

ブログ部/句読点[。、]の正しい使い方、9つのルール

 https://ebloger.net/punctuation/

わかりやすさのつくりかた/句読点の打ち方に気をつけよう

http://www.tairapromote.com/2017/02/20/punctuation/

まとめ

チョット見ただけですとこの本は、イラストも多く200ページ程しかないので安物のハウツー本に見えます。


それに反して中身の方は、文章は短めなのに実に濃い内容です。


まさにこの著者のおっしゃる通りの文章でこの本は作られており、

「文章としてどうなのよ」という視点で読んでみても面白いとおもいます。


この本は「完読」ということがテーマなのですが、見落としがちなのが文章を作る生産性をどう引き上げるかということも同時に考えられているところです。


磨くという作業においても、前述の「構造」の把握をベースにしてどういった手順で進めていけば良いか明確に示されています。


したがって繰り返しになりますが、エッセンスを拝借するというよりも愚直に著者の示すとおりの訓練を実践した方が、より効率的に文章を生み出せるようになるとおもいます。


他に、私がなんとなくやっていたことを、明文化してくれるありがたさも感じました。


最後にこの本の「はじめに」の中の言葉を引用します。


”特別なことはひとつもありません。下ごしらえさえおっくうがらずにしておけば、文章を書くことにセンスも魔法も必要ありません。それをこれから、お伝えしていきましょう。”

5ページより

おしまい

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